設定した条件が現実的かを確認ブログ:31-3-2020
おととい、二ヶ月振りにママが帰ってきた。
「お父さんの還暦祝いをするんだけど、来てくれる?」
父の勤務地が変わって、
ママは父と池袋へ行ってしまった。
そして、ママはときどき一人で池袋に帰ってくるのだ。
ママが戻る日…
おいらは仕事で休めなそうにないから無理だと言うと、
ママは寂しそうな顔で家を出ていった。
おいらは家で一人ぼっちになると、
ママには悪いことをしたなぁ…と後悔した。
沈んだ気分を吹き飛ばしたくて
おいらはテレビをつけた。
司会者とゲストが楽しそうにおしゃべりしている。
その遣り取りで、
おいらはゲストが司会者から電報を受け取っているのが気になった。
「そういえば、電報という手があるな!」
父の還暦祝いに、
おいらは真っ赤な鳳凰が羽ばたいているデザインのカードを選んで、
メッセージを添えて贈ることにした。
父の還暦祝いが行われた翌日、
ママから電話がかかってきた。
ママの声はいつもより弾んでいた。
「ありがとう。電報届いたよ。
感情をあまり出さないお父さんの久しぶりの笑顔が見れたわ」
「お父さん、喜んでくれたんやな」
「当り前よ。お父さんね、メッセージを読んでからしばらくの間、
鳳凰にみとれていたわ」
おしゃべり好きのママの話はいつものように脱線し、
なかなか話が尽きなかったが、
ようやく電話を切ることができた。
ママの声が聞こえなくなると、
今度は父の姿が浮かんだ。
今頃
座敷に胡坐をかいて愉快な顔で
父はビールを飲んでいるのかなぁ…
その横で、あの真っ赤な鳳凰は羽を休めていることだろう…